ついにレーティング1位の名人という名実とも人間最強がコンピュータと対決して敗れたという事で、内容面や昨年の山崎戦と合わせて、さすがにもう"ソフトの実力は人間を超えた"と言う他なくなりました。
佐藤名人には大変な敬意を払っておりますけど、失礼ながら予定調和感もありました。先手番の2局目は意地を見せて序盤優位に立ったものの、明確にチャンスや惜しいという局面も無く中盤以降ポナンザが力を見せました。

ドワンゴ側も展開をある程度予想したか、事前に人間対コンピュータという構図はこれで最後とのアナウンスが。引き際としては良いタイミングだと思います。

米長前々会長の始めた第一回電王戦から5年、色々ありましたね。半分ぐらいはニコ生にかじりついて見てました。
私は特に第二回の団体戦が好きで、サトシン戦や船江戦の棋譜は今でも度々見ます。素晴らしい名勝負ですし、人間対コンピュータというコンテンツが持つ旨味が全部凝縮されているような対局でした。他には第三回の屋敷戦、リベンジ森下戦、ファイナルの永瀬戦もとても良かったです。

今思えば反対も多かっただろうけど、それを押し切ってコンピュータとの対局を決断したのは素晴らしい事でした。それが将棋ファンの取り込みと8つ目のタイトルに繋がった。羽生さんがどこかで言ってた「テクノロジーの進歩って止まらないものじゃないですか?止まらないものに対してどうこう言っても仕方ない」っていうセリフ好きです。字面だけだったら悲観主義っぽく聞こえるけど、現実に直面した棋士の言葉としてはむしろ前向きに見えます。

電王戦の参戦も、今では結果論として良かったと言えるけど、それぞれの局面で自分に出来る最善の事を積み重ねていったからこその結果だと思います。AIに仕事を奪われる話だとか、日本の将来考えたりすると難しい気分になったりもしますけど、どうこう言ってもこの現実に生きて行く他仕方ない。そしてそれぞれの局面で最善を尽くす事。
ソフトと戦った棋士達に感謝と敬意を!